【過去1:出会い】
~???~
「お前たちは感情を捨てよ。お前達には必要無いものだ。」
無機質な部屋に響く声。
「今の所安定しています。」
「どの数値も異常が見られませんね。」
白衣を着た集団に囲まれてる。
ここはどこだろう?何も分からない。
白い壁に囲まれた部屋。見たことない機械。
「よし。順調だな…。次のフェーズに移行する。この実験が成功すればこの国は、いや世界は私たちの物に…。」
そこで意識が途絶えた…。
~王国貧民街~
布切れで出来たボロボロの服。
手足は傷だらけで右腕にいたっては化膿し悪臭を放っていた。
意識が朦朧とする。
私はいま湿った薄暗い路地裏を彷徨っていた。飢えを凌ぐため盗みを働き生き長らえていた。しかしそれももう限界に近い。
何のために生きているのか?
この世界のことも、自分の名前すらも知らない。
もうどうでもいいや。考えることも億劫になる。このまま寝たら楽になれるかな?
そう思っていたとき。
「お嬢ちゃん。このまま寝て天国に行くか。地獄みてぇなこの世界で俺たちとバカ騒ぎするかどっちがいいか?」
目の前にはまるで熊のような大きな体。
頭から足元まで黒いローブで覆われている
大男がこちらに手を差し伸べていた。
私は無意識にその手の指を握っていた。
「決まりだな」
黒いローブのフードから大男の口元が見えニヤリと笑うのが見えた。