キャラ設定:mitsuka

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キャラ設定:mitsuka [2024/08/30] – [中の人より設定記載] メンバーキャラ設定:mitsuka [2024/09/12] (現在) – [中の人より設定記載] メンバー
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 シロウとクロナも明るくなった。今日まであの日の事は1日も忘れた事がない。だがこの手で親の仇が討てている。あの時の無力感は今は無い。このまま使徒の奴らは1人残らず俺が殺す。 シロウとクロナも明るくなった。今日まであの日の事は1日も忘れた事がない。だがこの手で親の仇が討てている。あの時の無力感は今は無い。このまま使徒の奴らは1人残らず俺が殺す。
  
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 +【第二章】
 +俺たちは力をつけた。知恵を蓄えた。技術を身に付けた。着実に「使徒」の奴らは数を減らしている。俺は二十五歳になり「旅団」中隊長兼射撃部門特別教官としてこの身を戦場に投じて来た。
 +コンコン
 +「ファング大佐 失礼する」
 +「来たかミツカ中隊長」
 +「次の任務か?」
 +「あぁ奴らの動きが活発になってやがる 恐らく次は大きな作戦になるぞ」
 +「そうか 場所の見当は付いているのか?」
 +「最近使徒の目撃件数が英国の核融合研究施設にて増加している 奴らも焦っているのか随分と雑な動きだが危険なターゲットだと言う事に変わりねぇ」
 +「核か…奴らの作戦も最終フェイズが近いと言う事か」
 +「恐らくな ここで奴らも大多数が出張ってくるはずだ 今回は掃討戦になると想定しこちらも第壱中隊から第伍中隊までを出動させる お前には第参中隊の指揮を任せる」
 +「俺にか?」
 +「今までの実績と経験を加味して決めた」
 +「そうか 大佐が決めたならそれが最善なんだろう 因みに俺の弟妹はどこの配属だ?」
 +「ふん やっぱり気になるか お前が心置きなく戦える様に2人とも目の届く第参に配属してやった」
 +「感謝する」
 +「言葉はいい 成果を期待している 作戦開始まで推定2週間、それまで準備と休養をしっかりしておけ」
 +「了解した」
 +
 +「使徒」の目的は核を利用して奴等の言うところの「神の炎」とやらを実現させるらしい。バカバカしい。狂っている。そんな大袈裟な物じゃなく、コイツらがやろうとしている事は単なる核爆発を起こすテロだ。阻止出来なければその街は更地になるだろう。
 +「、、、1匹残らず殺してやる」
 +復讐の為だけではない。そこに暮らす罪の無い民の為に。 
 +
 +「アニキ」
 +「シロウか」
 +「次の任務が決まったのかよ」
 +「そうだ 今回は今まで以上に大きな作戦になるぞ お前達は俺が指揮する第参中隊に配属になった」
 +「マジかよ アニキと一緒かよ」
 +「そうだ にいちゃんの格好いい姿をちゃんと見ておけよ」
 +「アニキより前線で戦うんだから後ろ見れるかよ」
 +「、、、いやお前は後方の救護所の配置にする そこでクロナを守れ それがにいちゃんの役割だろ」
 +「何でだよ 俺だって力付けて、、、」
 +「まだ十九のお前を前線に出せるか これは上官からの命令だ」
 +「、、、分かったよ」
 +「お前達は俺が守るからな 見直したらまたにいちゃんって呼んでくれ」
 +「ガキじゃないんだからもうそんな風に呼ぶかよ」
 +「、、、そうか」
 +
 +
 +[2週間後 PM6:00 英国某所]
 +「使徒」が動き始めた。一般市民に紛れていたのかワラワラと湧いて出て来やがった。俺達が防衛する核融合研究所を取り囲む様に陣を敷いているが、、、こちらの想定通りの動きと戦力。敵数500。対してこちらは1000。問題無い。作戦通りならファングが率いる第壱が先陣を切り包囲網を一点突破。迅速に奴等の司令塔を捕縛後、遊撃隊となり奴等の後方から攻撃し戦力分散を図る手筈だ。
 +「動き始めたか」
 +ファングを先頭に第壱が包囲網を切り込んで行く。俺達は距離を詰められる前になるべく人数を減らす。
 +「銃撃隊攻撃開始」
 +「「「了解」」」
 +「スポッターは隊長格と思われる奴を探せ俺がやる」
 +「既に始めてます 前方ヒトヒト 距離342  もう1人、ヒトサン距離396」
 +「確認した 狙撃する」
 +タンタンッ 連続した2発の銃声が響き渡る。
 +「ヘッドショット確認 目標沈黙」
 +「引き続きスポッターは周囲の戦況を俺に送れ」
 +「了解」
 +
 +
 +暫く銃撃戦を続け最前線ではすでに近接戦が始まっている。随分と時間が経っているはずだが後方でファングが暴れている気配が無い。何か問題が起きたのか。
 +ピーーガガガ
 +「こちらファング! 応答しろ!ミツカ!」
 +「どうした? アクシデントか?」
 +「すまねぇ司令塔の尋問に手間取った! よぉく聞け今すぐ撤退だ! 既に工作員が研究所の、、、」キーーーーーンキーーーーーン
 +耳を押さえていても目眩がする様な不快音。まるでブレーキを踏んだままアクセルを全開にしている様な身の危険を感じる音だ。
 +「くっ何の音だ、、、」
 +「クソ始まったか! 司令塔の尋問によると、恐らく研究者として潜入していた使徒の工作員が核融合炉に過負荷を掛けたんだろう」
 +「なんだと!? つまり、、、」
 +「ここら一帯が更地になる」
 +「シロウ!クロナ!」
 +2人の顔を思い出した瞬間、体は振り返り脚は全力で地面を駆け始めた。
 +「待てミツカ!アイツらは最後方だろ!今から行っても犠牲が増えるだけだ!いつ過負荷に限界がきてもおかしくねぇぞ!」
 +「黙れ俺はにいちゃんだぞ!!」
 +「、、、お前はそういう男だったな」
 +「俺の声の届く範囲で撤退を促す あんたはその他の部隊の撤退を頼む」
 +「分かった 幸運を祈る」ブツン、、、
 +
 +「頼むから無事に帰ってこいよミツカ、、、」
 +ファングは無音になった無線機を見つめ信頼している部下の無事を祈る。
 +
 +「ハァハァ撤退だ!!今すぐ研究所から離れろ!俺が来た道は安全だ!」
 +もう少しで最後方だが徐々にこの不快な音が大きくなっている気がする。指示も通りづらいし、この音が原因か失神してる奴もいる。
 +「おいお前!、、マルクスか! あそこに倒れてるアイツを担いで行けるか!」
 +「中隊長!!大丈夫です行けます!!」
 +「救護所の奴らはまだ撤退してないのか?」
 +「クロナちゃん達ですか?負傷者を輸送車に乗せていたのですが、自分は撤退しろってシロウくんに言われてしまいまして、、、すみません!!」
 +「いい お前も肩に銃弾を喰らってるんだろ アイツを任せて大丈夫か?」
 +「任せて下さい!!」
 +
 +やっぱりアイツらは自分より他の奴らの命を優先するか。
 +キーーーーン、、、キーーン、、、、キ、、、、、
 +「、、、音が止まった?」
 +「アニキ!」「兄さん!」
 +「クロナ、シロウ!!にいちゃんが来たからもう大丈夫だ 音が止まっている今のうちに撤退するぞ」
 +「了解です!負傷者は搬送まで完了してます!」
 +「アニキが居なくてもなんも問題あるかよ」
 +「そうかよくやった、なら行くぞ! ファングはいつ核融合炉の過負荷に限界が、、、」パキ、パキパキ、、パリンパリン
 +静寂から一変、何かが割れる様な音が周囲に響き渡る。研究所を中心に空にヒビが入りそこから光が差し込む。
 +「なん、、だ、、核爆発じゃ、、、」
 +徐々に亀裂が大きくなり空が崩れ落ちる。その先には更に青々とした空が広がり徐々に景色が入れ替わっていく。その異常な景色は研究所から一定の距離まで広がり
 +「止まった、、」
 +この研究所の周囲にだけ昼間が訪れ遠くの方では昼と夜の境目がはっきり別れている。地面はアスファルトの筈だったがいつの間にか草原になり
 +「黄色いトリか?」
 +突如前方に見た事もない黄色いトリが現れたが、目が合ったそのトリは慌てて逃げ去っていった。
 +「何が起こっている?、、取り敢えず警戒だ」
 +「、、、アニキ、、あれ」
 +シロウが指差す先には研究所の上に出来た禍々しい黒い球体。光すら吸い込みそうなそれは徐々に膨らんでいる様に見える。
 +「、、、あれから距離を取ろう、、嫌な予感がする」
 +「私もそれがいいと思います!!急いで向こうの夜の場所まで移動しましょう!」
 +「よし にいちゃんが先頭で周囲を警戒しながら進む お前達は後ろを追行しろ」
 +「「了解!」」
 +
 +
 +「ハァハァもう少しだ!脚を止めるな!」
 +後ろを振り返ると二人の険しい表情と目が合う。更にその後方では先程より大きくなった黒い球体が見える。
 +「膨張速度が速くなってないか、、、クソッ 急げ!あの玉ここまで大きくなるぞ!」
 +「まじかよ!」
 +「来てます!!来てますよ!!」
 +もはや黒い壁の様に見えるその禍々しい球体は恐ろしい速度で膨張を進め俺達を飲み込もうと迫って来る。
 +「見えたぞ!あそこが境界線だ!」
 +「ハァハァあれより大きくなったらどうすんだよ!」
 +「知るか!今はあそこを目指せ!」
 +草原とアスファルトの境界線まで残り10m程度だが黒い球体もすぐ後ろまで迫っている。
 +(間に合うか!?俺の距離ならギリギリ間に合うがアイツらは、、、)
 +後ろを振り向くと何か二人で話している様だ。
 +「アニキ!先に行け!」
 +「行ってください兄さん!」
 +「にいちゃんが行けるわけないだろ!」
 +スピードを緩めて二人の間に入り並走する。このまま二人の背中を押せば反動で俺のスピードは減速しきっと飲み込まれるだろう、、、だが二人を守れるなら本望だ!
 +「「せーの」」ドン
 +「なっ」
 +背中に強い衝撃。押し出される身体はアスファルトの上に転がる。
 +「「にいちゃん大好きだぞ!(です!)」」
 +回る視界の中はっきりと二人の声が聞こえた。
 +「シロウ!クロナ!」
 +体勢を整えた時にはすでに目の前は黒一色になり、球体の膨張は境界線で止まっていた。
 +「なんで、、、まだ、、間に合う、、はずだ」
 +黒い壁に向かって走り出したその時、今度は膨張と同じ速度で球体が収縮していく。徐々に遠ざかっていく壁は、何も無かったかの様に歪だった世界を修正していく。草原だった場所はアスファルトに、昼間だった空は星空に、二人が居たはずの場所には
 +「、、、いない、、、返せ、、シロウとクロナを返せ!!、、返してくれよ、、、ウゥ、」
 +黒の球体は恐ろしい速度で収縮していき、最終的には全ての異常を修復し何事も無かったかの様に消え去っていった。
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 +「大佐報告します 使徒との戦闘による死亡数8人、負傷者数106人、謎の黒い球体による行方不明者数は隊員42人、研究所職員58人、対して使徒の死亡数およそ300、捕虜50、逃走者約150人。以上です。」
 +「ご苦労だったなぁ 想定より死亡者が少なくて良かったぜ」
 +「はい ただあの時に発生した謎の現象による行方不明者が100人に達してます」
 +「はぁ 一体何だったんだあれは」 
 +「各国の研究機関にデータを送っておりますが何処からも返事がありません」
 +「やっぱりか それはそうとミツカの奴は大丈夫か?」
 +「中隊長はあの後、三日三晩寝ずに研究所周囲を捜索しておりましたが今朝方倒れている所を発見しました」
 +「今日は寝かせてやれ」
 +「了解 それでは失礼します」
 +「ご苦労だったな」
 +バタン
 +「、、、はぁ、、ミツカだけでも無事で良かった あいつの損失は世界の損失だ 何が何でも立ち直ってくれよ」
 +一人呟くファングの願いは叶えられる事は無かった