文書の過去の版を表示しています。
「これは、私のものだ・・・!」
(????)
???
手元にある白い石は、あの石と対になるものだと言われた。
しかしその意味は正確には教えられていない。
なぜ教えられなかったのかは分からない。そもそも彼らとてこの石の意味を知らないのかも知れない。
あの石を精製した際に、必ず対でこの白い石も作り出される。
そしてこの石の効果は文献にほぼ出ては来ない。あの石の効果は何度も分かっているというのに。
「本当に意味は無いのかも知れないな」
ひとり呟く。精製される際の残りかすのようなものがこの白い石で、なんとなく両方持ち歩くようにしているだけかもしれない。
あまり深く考えないことにした。
石を傍らに置いて、手荷物を確認する。
必要最低限の荷物に、重要な武器と、石と、そして鏡。
鏡もいざという時のため、念のためつぐみにも持たせている。
「戻りましたー獲物、とってきましたよー」
つぐみが帰ってきた。雪まじりの中、獣を狩りに行くといって出て行ったが、ちゃんと狩れたようだ。
獣程度ならつぐみでも狩れるのか、そう思ったが言わないでおいた。
「ふう、捌く前にー火に当たってもいいですかー?」
つぐみはごそごそと荷物を置いて火に当たり出す。
「・・・川、渡ったのか?」
そう聞くと
「えへへ、向こう側に見えたのでー」
そう笑って答えるつぐみ。見ると服を着ていない。
冬の川の渡り方は、衣服を脱いで渡り、服を濡らさないこと。確かに正しい。
「正しいが、そもそも渡らないことが最上の選択だ」
私はつぐみに言った。
「えへへ、そうですよねーごめんなさーい」
相変わらず笑って答えるつぐみに私は、何とも言えない気分になる。