くだらないプライド
文香の恋愛相談をカフェで聞き、くだらないプライドの所為で撤退を余儀なくされた未緒。
憂さを晴らすためにスティア、ノイゼンプラントへなぜこの場所を選んだのか本人は分からなかった。
無駄に力を解放し、力の限りに敵を屠っていく未緒。
「あー腹立つっ!クソ男の所為で変な人認定食らっただろうしっそれにあの場でクソ男なんて発言してたら絶対文香ちゃんに嫌われてただろうしっあーもう吹っ飛べぇ!」
刀焔の力を無駄にふんだんに使い、敵、フィールドごと爆破させ殲滅する。そんなことのために消し炭にされたドールズはたまったものでは無いだろう。
ノイゼンプラントへ憂さ晴らしに来て30分は経った。未緒はとてつもない悪寒を感じた。
そう未緒の背後に居たのは未緒の母親、緋ノ神 真夜であった。静かに腕を組んで未緒の所業を見ている。
未緒は静かにしずかーに力を解除する。
「まーた外付けの力に頼り、このような場所で相応しくない振る舞いを行いおってからに…。」
声音は静かだが明らかに怒りの色が見える。
「えっと…何か用かな?お、お母さん。」
未緒ははっとなり、「あ、そう言えばお母さん今スティアに居たんだった…。」と心の中で後悔した。
「全てを視たとは言わぬが…お主よ、そろそろ年相応の振る舞いをしたらどうじゃ?」
娘を射抜くように視線を向けた。未緒は一体何を言われているのかわからないような表情で真夜をみる。
「あの場でのあの行いは目に余る、仮にもお主も緋ノ神じゃ、だからといって緋ノ神のことを説くつもりはないが、素行をそろそろ見直すべきじゃと思うがの?」
未緒はあの場と言われ、カフェでの光景を言っているのだとわかり、明らかに機嫌を悪くした。
「えーあぁーあのクソ男の所為だよあたしは知らないっ」
ピキッっと空間に亀裂が入った感じがした。いやもしかすると入ったのかも知れない。真夜からは明らかに怒りの念が見える。
「あ、え、お、お母さんそこまで怒らなくてもよくない?ねぇ?あ、だってほらなんでこうも世俗の事気にするの?お母さんてあまり…ッ!?」
未緒が言い終えるのを待たずにズドンッと足を踏み抜き未緒を射抜くように見る、踏み抜いた場所からは未緒に向かって亀裂が伸びている。
「クソ男の所為…知らない?…いつまで軋神の坊と揉めておるつもりじゃ?お主もあやつもいい歳じゃろうに…。」
「だってあいつが悪いんだよ?あたしの所為じゃないよっ濡れ衣っ」
更に真夜の圧力が高まっていくのを感じ未緒はハッとなり口を結んだ。
「それになんじゃ、代表ともあろうものがその言葉遣いは、前々から思っておったが餓鬼と何ら変わらぬではないか?」
「が、餓鬼って酷くない?お母さんそれ酷くない?」
ここはノイゼンプラント、こんな雑談の出来る場所ではないが真夜の異様な圧力の所為でドールズは近づけないでいる。
「やはり、此奴は自由にやらせ過ぎたかの…生まれ落とし儂が死んでしまった故に儂がとやかく言う資格はありはせんが…軋神の坊共々、歳の割に餓鬼が過ぎるし、素行にも目に余るものがある。」
未緒に視線を向けながら心中でぼやく。
「お、お母さん?」
珍しくリンクシェルを使い連絡をする。
「でたかの?そうじゃ儂じゃ急で済まないが顔を貸して貰えんかの?場所は~」
「えっお母さんリンクシェル?えっ誰に?」
未緒の発言を無視し話を進める。
「では待っておるぞ。」
「えっ待ってるってねぇ誰呼んだの?ねぇ」
場所を変えるぞと良い空間を拳で小突き断絶をし、未緒を連れノイゼンプラントから空間転移する。
ここはエアリオリージョン、西エアリオの何処か真夜に呼ばれ先に到着していた在屠。
「にしても真夜さん珍しいな…俺に用があるなんてよ…。」
空間に亀裂が入りそこから真夜と未緒が現れる。在屠は未緒の姿を見ると明らかに嫌悪し眉間に皺を寄せた。
「待たせたの、軋神の坊よ。」
何事もなかったかのように在屠の前に現れた真夜。
「あ、あぁ…いま来たところだが…何でクソ女がいる?」
「はぁ?クソ女ぁ?あんたにそう呼ばれる覚えはないんだけどねぇ?クソ男アンタの所為であたしは変な人認定食らった気がしてんだけどぉあぁっ!?」
クソ女と言われ触発するように声を荒げる未緒。
「知るかテメェの勝手だろうがっ俺を巻き込むんじゃねぇよクソ女っ!」
そのやり取りを真夜は腕を組み静かに静かに見ている。
「アンタが色恋なんてものにうつつを抜かしてる所為であたしが迷惑被ってんのわかる?お猿さんでもわかるように説明しようかぁ?」
「い、色恋!?て、テメェそれ何処で聞いたんだクソ女!」
轟音が響く、真夜が大地を踏み抜いた音だった。
「お主等…一体いつまでそうしておるつもりじゃ?」
二人に悪寒が走る。
「い、いやこ、このクソ女が悪いんだっ!?」
「い、いやお母さんあたしの所為じゃなくてこ、こいつ…がっ!?」
再び轟音が鳴り響き二人に稲妻が落とされた。
「ぎゃああああああああああ×2」
黒焦げになりぷすぷすと口から煙を上げる未緒と在屠。
「お主等…一体何歳じゃ?」
射抜くように二人を見る。
「…35だ。」
「…35だけど。」
二人は顔見合わせたそしてまたお互いに眉間に皺を寄せ
「はぁあああああ?同い年っ!?おええええええええ」
「…うええええええええ…ありえねぇ…こんなやつと同い年なんてありえねぇ…」
「お主等馬鹿も大概にせいよ…。」
真夜の気が膨れ上がっていき周囲は異様な圧に包まれる。
二人は真夜の方へ視線を向けるとあ、死んだわと確信した次の瞬間にとてつもない空気の圧によって二人は大地に突っ伏すことになった。
「35にもなってその素行…目に余るものがある、軋神の坊お主は冒険者として知見を広げており、バカ娘よりはましだと思っておったが…どこぞの風の噂で聞いたが
お主は何も考えずどこでもらーめん屋なる屋台を出してるとか聞いたぞ?」
「ら、らーめん屋は良いだろ…一応…許可は取ってるし…贔屓にしてる客もいるしよ…」
「そんな所で開かなくても良いような場所でも、他の迷惑を考えずにやっているとも聞いたぞ?年相応の考えであれば…そうはならぬよの?」
「ぷっ…言われてやんの」
「バカ娘、笑っていられる場合かお主は何でもかんでくだらん憂さ晴らしで力を行使し過ぎじゃ!その力は使うべき相応しい時に使うものと知れ安易に行使をするな!
それに龍の力も然りじゃ!」
「お母さんだって使ってるよね?」
「儂は人が元来持つ力じゃお主も使っておろう?すぐに蔑ろにし外付けの力に頼ろうとするがの。」
「じゃこいつのソウルクリスタル!こいつのは良いの!?」
「ソウルクリスタルとは技術の継承、記憶の保持とバカ娘の行使している力に比べればなんの特殊なものではないそれに坊がソウルクリスタルを身に着けた時に発現する鎧も何の特別なものではないからの。」
「真夜さんは本質がわかってるぜ、そうだぜこいつにはそんな特殊な力はないんだぜっ」
未緒は在屠の方を見てこんのやろおおおっという顔をしているそれを見て在屠はへへバーカという顔をしてやはり依然と啀み合っている。
「お主等…っ!」
再び空気の圧が二人のを地面に叩き伏せた
「クソ女…テメェの所為でっ!」
「クソ男…あんたの所為でぇっ!」
ギロッと鋭い視線を二人に向ける
「お主等…なぜ名で呼ばんのじゃ?」
その言葉を聞き二人はすごく苦しい顔を晒した。
「お主等…またくだらん誇りだの何だのと言うんじゃなかろうな?」
二人の反応を見て真夜は深いふかーーーーいため息をつく
「お主等…いい加減にせいよ、はぁ…仕方ないこの先を考えれば利のほうがでかかろうな…死して教養を施すとは思わなんだ。」
「えっ?お母さん今なんて言ったの?教養?」
「へへよかったなクソ女お前の足りない頭や、素行を正してくれるって…」
「戯けっ!軋神の坊お主もじゃ!お主も一緒に教養して素行を年相応に考えれるように正してくれるわ!」
二人は真夜を見て宇宙猫状態になった。真夜は二人に近づき肩に触れ離れる。
「暫しは儂が直々に監視し…素行が正しくないとなればこのように…。」
真夜は印を結ぶすると二人に異変が起きる
「いたたたたたたいたいいたいいったああああああああっ!?」
「いてててていってぇなんだこれっ!?」
二人は一斉に悶え立っていられず大地に転がった。
「儂のチャクラを流した、このチャクラは儂が解呪をしなければなくならない仕様じゃ。」
真夜は淡々と説明し印を解いた。
「酷くない!?これ実の娘にする対応!?」
未緒はあまりの痛さに半泣き状態で真夜を見るが再び悶えた。
「ふむもっと身体に教え込まんと振る舞いは治らんかの?」
「お母さん!いたたたた…やめてっ…やめてくださいお願いします!」
真夜は印を解いた。それを見ていた在屠はざまーみろと顔に書いてあるような表情で未緒を見ており、真夜は在屠に向かい印を結んだ。
「っいてえええええええ!?」
「お主も忘れるでないぞ…お主の素行も年相応に正すと言ったじゃろうに…まずはそうさなお主等のくだらん誇りとやらを消し去ってやるかの。」
「ちょっとまて」
在屠の発言を聞き真夜は印を結ぼうとする。
「ちょ、ちょっとまってください…監視???監視って言いました???」
真夜は冷たい視線を在屠に向けている。
「さ、流石に四六時中監視は勘弁てもらいたいんですけど…?」
「あぁ…そうか逢瀬のことを言っておるのじゃな?」
図星だった在屠は視線を逸らす。
「ねぇ逢瀬の時とかどうせデートの時は勘弁してくれぇっとか言うんでしょ?それってズルいよね?流石にズルいよね?く、くく……ぐぬぬぬぬぬいっったああああああああ!???????」
再び未緒は悶え大地にを転がる
「バカ娘、言葉遣いは気を付けろと…我が娘なのじゃがなんと嘆かわしいそれにまだお主等は名を呼ばぬか?」
「あ”あ”あ”あ”や”め”て”ぇ”え”え”え”え”え”え”いっだっだああああああっ!????????????」
「言っておくが時間経過とともに、威力は増して行くぞ早いところ素行を改めねばどうなるかわかっておろうな?」
在屠は未緒の異常な悶え方を見て冷や汗をかいている。
「ふむ軋神の坊は学習能力があるようじゃの、一応尊臣の血が流れておるということか」
「父上のこと知っているのですか?」
「うむ…儂はこれでも一応緋ノ神の当主の座に就いていたしその時にの」
真夜は一瞬だけその表情に陰りを見せた。
「あ”…あ”…おかぁ…さん…もう駄目…ガク」
「忘れておったわ…済まぬの」
印を解いたが時既に遅かった。
「さて軋神の坊よこうはなりたくないな?では次にお主は何をすれば良いかわかるな?くだらん誇りは捨てよ。」
在屠に微笑みを向けた。在屠はははっと真夜に笑顔で返した。
「名を呼べるようになれとそういうことですよね…。」
在屠は眉間に皺を寄せ苦しそうに発音をしようとする。
「なんじゃ…名を呼ぶだけでそのような辛そうにしおってからに…名を呼んだら死ぬわけじゃあるまし何をしておる早くしないと…」
印を結ぼうとする真夜。
「ま、まってくれっ…いや待ってください!言うから言うのでっ!」
「先が思いやられるのさてバカ娘は…」
延びている未緒を足で小突いた
「これいつまで延びておる!はやくせいお主もどうするべきかわかっておろう?」
「ヒドイと思いませんか?この仕打ち…わ、わかりました…わかりました!」
印を結ばれそうになり未緒も在屠同様に眉間に皺を寄せ辛そうにしながら発音を試みようとする
「此奴らは…長いことかかりそうじゃの」
「くくくく……アルト…アンタのの所為」
「煩い…俺の所為じゃねぇ…くくくく…ミオ…ふざけんな」
真夜は大きな大きなため息を吐いた。
「真夜さん流石に急に敬語を使い出すとかは俺にはやりすぎると思う…変に思われてしまうから…もう少し砕いた使い方でも良いか?」
恐る恐る在屠は真夜に提案をした
「そうじゃのそこは少し考えるとするか」
「あああああああ…アルトばっかそれってずるくない?」
「お主は駄目じゃお主は黒翼という組織の長でもある長らしい所作を身につけるまでは暫くはその砕けた喋り方は抑えよそれにお主のその喋り方は年相応と言うよりは稚すぎる故な」
未緒はガーンっと驚愕の顔を真夜に向けた。在屠は心の中でガッツポーズをした。
「お主等、夢々忘れることなく素行に気をつける事じゃな」
「あああああ、アルト…アンタの所為ですからね…ホント勘弁してくださいねっ!」
「煩い、俺の所為じゃない…因果応報自業自得だろうに…。」
「はああああああっ?なんですかその物言いっすごく腹が立ちましたたったんだけどおおおおおおおおおおおっ!」
「あああああん?テメェが…あっ」
真夜は静かなしずかーな笑みを二人に向けて印を組む
「ああああああああああああああっっ!!!×2」
「全く…懲りぬ奴らじゃ…」