つぐみのストーリーログ:011:忘れられた落とし物

文書の過去の版を表示しています。


「長年苦楽を共にしていたフェジエーから恐るべき事実を知らされたのはその夜であった。
 血相を変えて飛び込んできたフェジエーは私を見るやこう告げた。「王に報告します。先割れ山の」」
(シュルパ王の歴史書12章第2節の欠落直前より。
 現存する文書はフェジエーが死んだ後からの章であるため、フェジエーがなぜ死んだかは今も分かっていない)


一歩横に踏み出す。
その分だけずれた身体の、かつて頭が存在した位置を一本の、投じられたナイフが通過していく。
発生した音と風が、頬に伝わるような気がした。

後ろにいたものはステップして大きく避けたようだ。
確実だが、相手との距離を縮めるのに間が空いてしまう。

私は体勢を低くして一気に駆ける。
そして腰の刀を抜く、そしてすべてが終わる。

いつものこと。これが私の日常である。
「えへへ、お疲れ様ー」
こいつが来るのも日常。
「つぐみでーす、後始末は任せてくださいねー」
いつも終わりと共に現れる彼女が、私は嫌いだった。


ある日のセントラルシティ。
「ない」
「ないないない!もしかして・・・」
「・・・落とした?」
ひとり、少年途方に暮れていた。