文書の過去の版を表示しています。
「長年苦楽を共にしていたフェジエーから恐るべき事実を知らされたのはその夜であった。
血相を変えて飛び込んできたフェジエーは私を見るやこう告げた。「王に報告します。先割れ山の」」
(シュルパ王の歴史書12章第2節の欠落直前より。
現存する文書はフェジエーが死んだ後からの章であるため、フェジエーがなぜ死んだかは今も分かっていない)
一歩横に踏み出す。
その分だけずれた身体の、かつて頭が存在した位置を一本の、投じられたナイフが通過していく。
発生した音と風が、頬に伝わるような気がした。
後ろにいたものはステップして大きく避けたようだ。
確実だが、相手との距離を縮めるのに間が空いてしまう。
私は体勢を低くして一気に駆ける。
そして腰の刀を抜く、そしてすべてが終わる。
いつものこと。これが私の日常である。
「えへへ、お疲れ様ー」
こいつが来るのも日常。
「つぐみでーす、後始末は任せてくださいねー」
いつも終わりと共に現れる彼女が、私は嫌いだった。