裏切りの邪眼第三回ショートストーリー

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🏛️エアリオ中央審問庁・開廷
審問庁の扉が重々しく閉じられる。 白磁の床に響く足音。壇上にはヒッタヴァイネン。
傍聴席にはプレイヤーたち。 審問官たちは無表情に並び、協会代理人スティーブンが書類を整えている。
対するヒッタヴァイネンの弁護人、フィリップ・フィリップスは、胸元のペンを回しながら静かに立つ。

🎙️審問官の開口
審問官:「本審問は、ヒッタヴァイネン氏の“邪法使用”および“技術不正保持”の疑いについて開廷する」
審問官:「まず、被疑者の身元と経歴を確認する。ヒッタヴァイネン氏、あなたは現在どの立場にありますか?」

ヒッタヴァイネン(静かに):「元アークス、現・技術企業経営者。サーミ村出身」

審問官:「あなたは“パハシルマ”と呼ばれる旧技術を所持している。これは協会の管理外技術であり、危険性が指摘されている。弁護人、これについての立場は?」

フィリップ(一礼して):「パハシルマは、確かに旧技術に分類されます。しかし、危険性の根拠は曖昧であり、使用記録においても暴走や被害は確認されていません」
フィリップ:「むしろ、協会がその力を“理解しないまま封じようとしている”ことこそが問題です」

スティーブン:「異議あり。弁護人は感情論に走っている。技術の危険性は、協会の基準に基づいて判断されるべきだ」

審問官:「異議は保留。証拠の提示に移る。弁護人、証拠は?」

📼証拠提示と異議
フィリップ:「こちらが証拠音声ファイルです。複製ではありますが、内容は改ざんされていません」
スティーブン(即座に):「異議あり!複製ファイルは証拠能力に欠ける。しかも“にゃー”という音が混入している。これは改ざんの証では?」

傍聴席がざわめく。審問官が眉をひそめる。

⚖️フィリップの弁論
フィリップ(一歩前へ):「異議は却下されるべきです。まず、“にゃー”は改ざんではなく、複製処理のウォーターマークです」
フィリップ:「協会の技術部門が採用している複製ツール“EchoCopy”の仕様書にも、複製時に自動挿入される音声タグが記載されています」
フィリップ:「つまり、“にゃー”は改ざんの証ではなく、複製の正当性を示す印です」

スティーブンが口を開こうとするが、フィリップが続ける。

フィリップ:「さらに、音声内容は協会の調査官ダニエルによる脅迫であり、協会の行動原則に明確に違反しています」
フィリップ:「証拠の真正性は、内容によって判断されるべきです。音声の一部に“にゃー”が入っていたとしても──真実は、消えません」

🧑‍⚖️審問官の裁定
審問官が静かに頷く。

審問官:「異議は却下。証拠は有効と認める」
審問官:「審問を継続する。ヒッタヴァイネン氏、フィドルの演奏を」

🎻フィドル演奏と幻視
ヒッタヴァイネンがフィドルを奏でる。 空間が震え、パハシルマが光を放つ。 審
問庁に幻視が広がる──そこには、再建されたサーミ村と、子供たちがフィドルを奏でる未来。 その音の中に、微かに──「にゃー」

傍聴席が静まり返る。 審問官は、ゆっくりと口を開く。

審問官:「……これは、選ばれた未来だ」

🏁裁定と余韻
協会は粛清の事実を認め、旧技術調査WGは解体。 ダニエルは失脚し、協会は再編される。
ヒッタヴァイネンは名誉を回復し、技術継承者として新たな研究機関設立の権利を得る。
フィドルとパハシルマは、正式な研究対象として認可される。

フィリップはプレイヤーたちに語る。 「“にゃー”が入ってるって?それでいいんだ。それは、君たちが真実を守った証だよ」

🎬ラストカット
サーミ村の祠。 子供たちがフィドルを奏でる練習をしている。 その音の中に、微かに──「にゃー」

ヒッタヴァイネンは微笑む。 「……それでいい。未来は、君たちが選んだ」